看護師さんにこそ知ってほしい!地域包括支援センターのお仕事①
こんにちは、保健師のアオです。私は地域包括支援センターで5年間勤務しました。「地域包括支援センター」は一体何をしているところかご存知ですか?実は私、自分が勤めるまでは「地域包括支援センター」のことをよくわかっていませんでした。超高齢社会の今、病院で勤めている看護師さんにこそ知っていただきたい「地域包括支援センター」のお仕事をご紹介させていただきたいと思います。
地域包括支援センターには保健師または看護師、社会福祉士、主任ケアマネジャーという3職種が配置されています。地域包括支援センターの業務は、大きく分けて4つあります。今日はまず、そのうち2つの業務についてご紹介します。
総合相談業務
地域包括支援センターは、65歳以上の高齢者の総合的な相談窓口です。「介護を受けたい」「介護しているが負担が大きくて辛い」といった介護に関すること。「どこの病院にかかったら良いのかわからない」「錠剤が飲み込めない」など医療に関すること。「足腰が弱らないように運動したい」「物忘れが増えてきたが認知症にならないようにするにはどうしたら良いのか」など介護予防に関すること。「お金がなくて生活が苦しい」「近所にゴミ屋敷があり高齢者が住んでいる」「近所のおばあさん、一人暮らしでなんだか心配」「などなど…相談内容は本当に様々です。地域包括支援センターが直接出向いて対応することもれば、医療機関や福祉サービス、介護サービスなど他の機関や事業所へ「つなぐ」ことが必要なケースも多くあります。また、公的サービスでは対応できないこと(例えば電球の交換ができない、ゴミ捨てが大変など)も実は多く、そういった場合はボランティア団体などを紹介することもあります。
どんな相談でも決して「たらい回し」にはせず、いったん受け止めて必要なところへ迅速につなぐことが重要です。そのため、日頃から医療機関との連携、サービス事業所との連携を強化していくことが大切です。また、地域のさまざまな情報を日頃からキャッチしておくことも必要です。
最近増えているのが、病院の看護師さんからの相談です。特に、「退院後、訪問看護が必要」「自宅に手すりを取り付けて環境整備が必要」「一人暮らしなのでデイサービスに通った方が良いのでは」など、「退院調整」の依頼が多いです。こういった場合、「数日後には退院なので急いでほしい」という要望も多いのですが、なかなか数日間で退院後のことをすべて整えることには限界もあります。退院予定が決まる前でも、退院後の調整が必要になりそうな場合には早めに情報提供してもらえると大変助かります。入院中に本人や家族と顔合わせをして、退院後に向けて相談したり、外出・外泊に合わせて家屋調査をしたりすることができるからです。
また、入院中ではなく通院中の患者さんについて、外来看護師さんから相談いただく場合もあります。この場合、「物忘れが進行しているようだ」「薬の管理が難しいと思う」など、独居高齢者の認知症に関する相談が多い傾向があります。本人の拒否があっても、例えば「この辺を回っている保健師です」と自宅をさりげなく訪問することもできるので、気になる患者さんがいる場合は遠慮なく相談いただきたいと思います。また、このような場合、意外と包括支援センターの保健師も関わっている「困難ケース」だったりするんですよね。病院の看護師さんとに情報交換ができるかどうかで、かなり地域での支援に差は出ると思います。
権利擁護業務
こちらは主に、地域包括支援センターの社会福祉士が中心となる業務です。高齢者虐待では、介護負担が大きくなりつい手を上げてしまったり、介護放棄をしてしまったりということは誰にでも起こりうること。だからこそ、擁護者支援という視点を忘れずに支援します。
また、最近急増している消費者被害。一度も顔を合わすことなくお金をだまし取る特殊詐欺は、犯人を捕まえることが困難です。そこで警察署とも連携をとり消費者被害防止への働きかけに力を入れています。自分や家族のために大切に貯めたお金を見知らぬ人に簡単にだまし取られるなんて、絶対あってはならないこと。高齢者の権利を守る、大切なお仕事です。
次回は、地域包括支援センター業務、残りの2つをご紹介したいと思います。
この記事を書いた人
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病棟看護師として2年勤めた後、保健師へ転職。
現在、保健師8年目。プライベートでは二児の母であり、ワーキングマザー6年目。
主に、地域での看護のお仕事や子育てとの両立についての記事を書いていきたいと思います。
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