看護師が養護教諭になったらこうなった~体育科との闘いその3~
みなさんお疲れ様です。おじゃりんです。
私が養護教諭をやっていたころのある体育科の先生とのやり取りを完全私目線私主観で語っています。(笑)
今回は「ぜんそくの発作」に関わる事件を紹介します。
出席がぎりぎりの冬
体調を崩しやすい12月ごろ、生徒たちは風邪をひいても簡単には授業を休めなくなります。なぜなら今までさぼってきた付けがたまりにたまってしまい、冬になるころには1時間とも休むことができない科目が出てくるのです。
何度も言いますが、高校です。ある意味自己責任なのでそこはもう頑張ってもらうしかないのです。
ぜんそくに苦しむ生徒
体育の授業をあと1回も休むことのできないぜんそく持ちの生徒。その生徒は去年も同じ時期に発作を起こしていました。授業は3限目だったけど、調子があまりにも悪く、2限目の途中で体育まで休ませてほしいと担任の先生に連れられて保健室に来ました。
その生徒は座っているだけでも呼吸苦がある状態で、SpO2は90%台後半を保っているもののHRが坐位でも120前後ありました。
正直、家に帰すか受診をさせるかしたいところでしたが、とにかくその日の体育の授業に出席しないと進級が厳しいということで体育の時間まで保健室で休んでいました。
休み時間を挟み、体育の時間が近づきます。坐位でHRも100台まで落ち着いてきていましたが、冬に寒い乾燥した体育館で見学するだけでも厳しいなと思いました。
私は体育の見学カードにぜんそくの発作が出ていることを書きました。また、担任の先生も体育科の先生に発作が出ていることを伝えてくれました。
たまたま簡易式のサチュレーションモニターがあったのでそれを指にはめさせ、「脈が130を超える状態が続いたりSPO2が90前半になるようだったら無理をしないで保健室に戻っておいで」と伝えて体育に送り出しました。
苦しそうに、そして怒こりながら帰ってきた生徒たち
その生徒が体育に行って15分ほど、案の定彼女は保健室に戻ってきました。そして付き添っていたその生徒の友だちはものすごく怒っていました。
とりあえず辛そうだったので生徒は座らせて楽な姿勢を取らせ、事情は付き添いの生徒に聞きました。なぜ付き添いの生徒は怒っていたのか・・・。
付き添いの生徒によれば、体育館に行ってすぐに発作はひどくなり、体育館にいるのが辛そうだったということでした。そこで体育科の先生に保健室に行くことを伝えたのですがすぐには対応してもらえず、「待て」がかかったそうです。
何分か待たされた末に渋々許可が下りたとのことでした。要するに、体育科の先生には心配されたというよりはめんどくさがられたという印象だったようです。
まさかの一言
その生徒は発作が治まらず、担任の先生に保護者に連絡して迎えに来てもらうことになりました。
保護者のお迎えを待っているとき、保健室には私と生徒とその友だちだけ。担任の先生はちょうど席を外していました。
そこに現れたのは体育科の男性教員。苦しそうに座っている生徒を見て一言。
「次休んだらアウトだから。情状酌量の余地はないから」
それだけ言って去っていきました。体調を気遣う言葉も様子もゼロです。
そこにいた全員があっけにとられて何も言えませんでした。私も何も言えませんでした。かばってあげられなかったことが唯一の後悔です。
後日元気になって登校した生徒から、「悔しくて悲しくて泣いたし、親も怒っていた」と聞きました。保護者も学校に苦情を入れたそうです。
正直、文句を言われても仕方のない対応だったと思います。そのときすぐにフォローできなかった自分にも負い目を感じました。
地味なぜんそく発作
仮にも保健体育科の保健の先生なら、ぜんそくの発作が辛いことぐらいわからないものでしょうか??
発作を起こしていた生徒は安静にしていてもHR150近くまでなることもありました。安静にしていても100メートルを全力疾走した後状態です。
でもその学校、ぜんそくの発作より過呼吸を起こす生徒の方がずっと多いのです。過呼吸の発作、派手ですよね・・・。ぜんそくの発作、地味なんですよ・・・。ぜんそくの方が重症なのに、なんか悲しくなりますね。
もう少し発作が重たかったら救急要請だってあり得るのに、そういった事態を要望しなければならないはずなのに・・・。
保健も担当している体育の先生だからこそそこを共感してほしかったなと、残念に思う出来事でした。
何回も何回も言っていますが、これは私一個人の経験であり、養護教諭になると必ずこういうことが起こるわけでも、必ずこういう体育科の先生がいるというわけではありません。
この記事を書いた人
-
人と関わること、子どもと関わることが好きだけど、ものすごくエネルギーを奪われてしまうタイプの人間です。
子どもと戯れる生活になり、日々ストレスと驚きと喜びを感じながら生活しています。
最近の記事
- 仕事に役立つコラム2018年1月13日看護師が保健室の先生になったらこうなった 養護教諭のユニフォーム
- 仕事経験談2017年12月28日先生!冬休みは何しているの?
- 仕事経験談2017年12月7日再び、養護教諭
- 看護師あるある2016年8月13日あるある?わたしだけ?看護師の私がついついやってしまうこと
人と関わること、子どもと関わることが好きだけど、ものすごくエネルギーを奪われてしまうタイプの人間です。 子どもと戯れる生活になり、日々ストレスと驚きと喜びを感じながら生活しています。
この記事を読んだ人は以下も読んでいます
人気ライターBEST5
-
こごみ
計208,624view
しまりんご計86,427view
おじゃりん計78,644view
まこ計77,144view
人気記事BEST10
SIDS(乳幼児突然死症候群)のおはなし 21,102view
入院して分かった点滴の苦痛とナースの対応 16,516view
わたしの流産体験その2~流産後から復帰まで~ 16,384view
大腿骨近位部骨折の保存療法はどのように看護すればいいの? 13,348view
わたしの流産体験談その1~妊娠判明から流産まで~ 12,891view
看護師が養護教諭になったらこうなった 保健室って何するの? 12,398view
特養の配置医師以外はみだりに診療に行ってはならないの規定について 12,291view
「彼女は看護師」のあなたに伝えたいこと 12,285view
最近注目の「スキンテア」を身近なものでケアしよう! 11,364view
葬儀屋さんが教えてくれた「エンゼルケアの今」 10,614view
カテゴリ一覧
この記事に対するコメント
>> すべてのコメントを見る(0)