オペ室ナースにしか出来ないおもてなし〜帝王切開術編〜
皆様、こんにちは!幸魂です。
今日はどんな嬉しいことがありましたか?
本日は以前勤めていた総合病院のオペ室で、実際に行っていた おもてなし のお話を書きます♪
これは、本当にオペ室ナースにしか出来ないことなので、今現在オペ室に勤務されている方々のお役に立てたらうれしいです!
さて、おもてなしを意味するHospitalityという言葉が、病院 Hospital の語源になっていることは既にご存知のことと思います。
Hospitality = 客人や巡礼者を手厚くもてなす大きな館 という意味があるようです。
人生の道半ばで病いに出会い、心身共に静養が必要な方々を収容する施設である病院は、まさにHospitalですね。
オペ室では病いを治す手術、検査 診断目的の手術、出産の為の手術、などなどが行なわれます。
術中は患者さんが麻酔下にあるために、オペ室には看護がないなどと言われてしまうこともあります。
でもそれはとんでもなく大きな間違いです!
視点を変えてみると、オペ室ほど特殊でオンリーワンのおもてなし看護が提供できる場所は他にはありません。
今回はその中から、帝王切開術を受けられる方に対するおもてなし看護をご紹介致します。
出産という人生の中でもかなりな一大事に立ち会いながら、異常分娩扱いということもあり、無機質な関わりを余儀なくされている施設も少なくないかもしれませんね。
わたしが勤めていた総合病院のオペ室では、赤ちゃんが誕生すると有線放送のチャンネルをバースデーソングに切り替えるということをしていました。
赤ちゃんが生まれるまでと、赤ちゃんが退室した後は、お母さんの好みの音楽を有線で流していて、赤ちゃん誕生とほぼ同時に、有線のチャンネルを変えるというのが、大事な外回り看護師の仕事でした(笑)
これだけだってなかなか素敵ですが、これを遥かに上回るおもてなしが、『赤ちゃん誕生の瞬間を写真に撮りプレゼントする!』です。
普通分娩であれば旦那様やご家族の立会いも可能ですし、もちろん写真やビデオの撮影も可能です。しかし、帝王切開では手術であるという理由で家族の手術室入室は叶わず、当然立ち会うことも写真撮影もできません。
(実はこの写真のプレゼントをきっかけに、後に帝王切開術の夫立会いが実現しました!それはまた別の機会に(笑))
私たちは仕事上、出産という大事な場面に立ち合わせていただきながら、その瞬間を己の胸の内に収めることしかできないでいました。でもこれって、すごくもったいないですよね?
わたし自身出産経験があり、赤ちゃん誕生の瞬間の写真は本当に宝物です。
でもそれは、わたしが普通分娩だったから叶ったことです。
“同じ出産なのに、手術室だからという理由でその大事な赤ちゃん誕生瞬間の写真が残せないなんて!!” この想いが、オペ室限定おもてなし看護誕生のきっかけとなりました。
とはいえ、通常帝王切開術の外回り看護師は1人です。赤ちゃん誕生の瞬間とはとても忙しいタイミングでもあります。
誕生の瞬間の時間を声に出して読み上げ、助産師と情報を共有し一致させる、子宮収縮剤の投与、母体のバイタルチェック、出血量の確認、有線放送のチャンネルを変える・・などなど。これに写真撮影が加わるなんて!と、始めオペ室の誰もが無理だと決め付けていました。
しかし、何とか実現させたい!という熱意が勝り、何度となく話し合い、手順書の作成・修正を繰り返し実現に至りました。
撮影した写真は術後の空き時間にオペ室内でプリントし、術後訪問の際にお母さんにプレゼントします。写真を渡すという明確な訪問目的ができた帝王切開術の術後訪問率はほぼ100%になりました。術後訪問率を上げるというオペ室の目標達成にも、一役かってくれる結果となりました。
お母さんの喜びも想像以上に大きく、たくさんの感謝のお言葉もいただきました。
オペ室ナースが患者さんから直接感謝を伝えられる機会は殆ど皆無です。
そんな中、患者さんからの感謝の言葉の花束はオペ室ナースにどれほどの力を与えてくれたことか・・・。
確かに大変ではありましたが、自分達で考え、試行錯誤の上に実現したおもてなし看護に、オペ室ナースのモチベーションもかなり高まりました。
赤ちゃんがお腹から抱き上げられた瞬間、無影灯に照らし出されたその姿は神々しく、命の神秘を感じずにはいられませんでした。へその緒の繋がった写真も、その瞬間に立ち会える者だからこそ撮影ができるものです。
いつかその写真に映った赤ちゃんが大きくなったとき、一枚の写真が伝えるものがきっと大きな力になります。自分の誕生にたくさんの人が関わってくれたこと、お母さんが命がけで産んでくれたこと、そこにいた皆が自分の誕生を望んでいてくれたこと、自分の誕生を心から喜んでくれたこと・・・。
素晴らしいと思いませんか?
看護の仕事はそれ自体誇り高いものです。
おもてなし看護で、更に誇れるものにしてみませんか?
最後までお読みいただいて、ありがとうございます。
感謝を込めまして。幸魂でした♪
この記事を書いた人
- 看護師歴15年です。3児の育児と仕事を両立していました。現在は看護職から離れ、予防医療の一環として、フラ美クスを指導しております。
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