仕事を辞める前に考えておく事とは
看護学校を卒業して就職したのが、救命救急センターだったのですが、行きたいところでもなく、特に目標もなく、ただただ毎日何事も無く過ごせることを願っていたあの頃。看護学校からの同期も多く、まただんだんと仲の良い先輩もでき、飲みに行ったり、遊びに行ったり、時には旅行に行ったりとそれなりに楽しい20代前半を過ごしていました。
きっかけは、同期の男の子が地元に帰り、救命救急士として働くので職場を辞めると言い出したことでした。就職して2年が経とうとしていた頃です。それを聞いて自分自身のスイッチも入ってしまったのか、夜勤明けの朝、看護師長の部屋をノックし、「辞めさせてください」と言っている自分がいました。看護師長の反応といったら、「あっ、そう。いつがいいの?」とびっくりするくらいのあっさりした反応。そして希望の時期を伝えて終了です。これで辞められると安心している反面、私っていてもいなくても大丈夫なんだろうなとふと悲しくなったのを思い出します。
今、考えるとなんで唐突にそんなことを言ってしまったのか、同期や先輩に相談したり、もう少し先々のことも考えて決断をするべきだよとその時の自分に言ってやりたいです。でも、きっとそのときはそうせざるを得ないくらいいっぱいいっぱいだったのかもしれません。
そんなに大変な職場ならさっさと辞めればいいじゃんとか、そんな苦労しなくてもいいじゃんと思う方もいると思いますが、思いっきり辛い時期や、けちょんけちょんにやられる時期って必要だと思うんですよね。それで他人の痛みもわかるし、強くもなれますから。
2年という短い期間でしたが、学生という立場から社会人となり初めて働いた職場、身体的にも、精神的にもとても過酷だったと思います。あの頃よくあったのが、寝ている間に洗濯機を回して、終了時に鳴る音が輸液ポンプの終了時の音に聞こえて飛び起きる、何時に寝て、今が何時なのか次の勤務は何だったかを忘れて飛び起きる、救急車の音に非常に敏感になり、立て続けに救急車が走っているのを見ると、仕事忙しくなるんだろうなとやたらブルーになるという、追いつめられている感たっぷりな症状です。
こんな精神状態から早く解放されたいという強い思いと、救命にいると本当に病気になる人って多いんだなと痛感します。そんな人たちが病気になる前に気がつき、救命に運ばれる人たちを少しでも減らせるような仕事に、いずれは就きたいなと考えるようになりました。
そしてついに退職の時が訪れ、同期、先輩たちに惜しまれながら(自分ではそう思っています)救命の職場を去りました。ここまでは良かったのですが、辞めてから意外と知らないことが多かったり、こういうことちゃんと考えておくんだったと反省することが多々ありました。
収入が無くてもお金はかかる
働いている時は気がつかないし、給料明細なんて自分の手取りの部分しかみていないので、健康保険料や年金にどれだけお金が引かれているかを知りませんでした。
辞めたら健康保険も、年金も自分で支払わないといけません。これ結構高額で大変です。それに都道府県や、市区町村にも税金を払わないといけないんですよね。それに家賃も水道光熱費もありますから、収入が無くても生きているだけで本当にお金がかかります。
ですから、絶対余裕をもった貯蓄をしておくべきです。退職金が出るから大丈夫!なんて辞めた時に払われるお金を当てにしてては痛い目に遭います。退職金が出るまでに時間もかかりますからね。辞める予定がある方は是非多めの貯蓄をお勧めします。私はこれに失敗して、泣く泣く早めに職場復帰しました。
辞めた後はどうするのか考えておく
どれくらいで職場を探して復帰するのか、どんなところで働きたいのか、先の事をある程度決めておいた方がいいです。これは上記に記したお金との兼ね合いもあるのですが、時期が決まらないと貯蓄の目安も立ちませんし、焦って仕事を探すと自分の思いとは違った職場に決めてしまったり、お給料だけで選んでしまったりと良いことはありません。
私は辞めたらカフェでバイトしたり、旅行したりと理想ばかり思い描いて、それに見合うだけの貯蓄が無かったため、ただただ看護師バイトに精を出すことになり、旅行は親戚のいる長崎に行っただけという180度違った無職時代を過ごすことになってしまったので、そうならないようにお気をつけください。
なんとなく実家に引き返さない
これは実家に住んでいる人には当てはまらないのですが、高校卒業して実家を離れた人で、仕事を辞めて特にここに残る必要もないし、もうしばらく実家から離れていて親も帰って来ればって言ってるしと安易に実家に帰ろうと考えてしまっている人いませんか?地元に帰ってやりたいことがある前向きな引き返しならばいいのですが、なんとなく帰るというのなら止めた方がいいです。
私もなんとなく引き返し経験者ですが、実家を離れている時間が長ければ長い程、これ違ったと思う確率は高いと思います。自分がいない間には実家のペースが出来上がっていますし、一人暮らしで慣れた自由な暮らしとはかけ離れていることに後々気がつきます。頑張れるのであれば、一人で頑張ってみた方がいいですし、実家にはたまに帰るくらいでいいんだと思います。
この記事を書いた人
- 育児中の30代看護師。救命救急センター、内科病棟、外来等で働きました。市役所や健診センター、企業での産業保健師としての経験があります。
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