ナースはつらいよ

覗いてみよう☆精神科病棟のお仕事⑧~退院調整その2~

こんにちは、しまりんごです☆

精神科病棟のお仕事シリーズ第8弾は、一般病棟の看護師はほぼノータッチの「退院調整」です。

その1では、主に精神保健福祉士さんが担ってくれる部分のお話でしたが、その2では、精神保健福祉士さんと一緒に看護師も活躍する部分のご紹介です☆

退院が可能な状態なのかを見極める

患者様の退院の決定権は言うまでもなく主治医です。これは一般病院でも同じことですね。一般病院で医師はどうやって退院を判断していますか?検査データや患者様の症状などをみて、自宅や施設に帰っても大丈夫か、家族のサポートがあり介護に困ることはないか、外来での治療でも問題ないかなどを総合的に判断していると思います。

では、精神科ではどうでしょうか。大体プロセスは同じようなものです。しかし、精神科では、患者様の病気の度合いや症状などを測るものがとても少ないです。検査にはほぼ現れません。主治医の診察の時間だけでそれを判断するのはとても困難です。主治医がそろそろ退院を・・・と考えるようになったとき、その指標のひとつになるのは看護師の観察や直感です。

看護記録を読んだり、「〇〇さん、最近どう?」なんて聞いて来たりして、主治医は看護師の意見を結構頼りにしています。なので、普段の患者さんの様子を伝えたりすることが多いです。主治医が知らなかった、患者様の側面や、例えば家庭環境なども情報としてしっかり伝え、退院の判断材料に知ってもらう必要があるのです。

また、時々主治医ではなく、精神保健福祉士から患者様の方向性や退院の時期などについて相談が入ることがあります。その多くは、医師に直接退院のお伺いを立てる前のワンクッション。看護師の話を聞いて良い感触があれば医師に話を持っていくという流れが多いです。

退院するには何が必要か考える

患者様の退院を現実にするには、サポート体制をしっかり考え土台を作っておく必要があります。精神保健福祉士から相談を受けるような形で、看護師も意見を出すことがあります。

服薬できるかが不安だから、訪問看護をつけたらどうか。引きこもりがちになるからできればデイケアなどの日中活動を入れたらどうか。ご家族と共依存的な傾向にあるから日中は離れて過ごせるよう調整したらどうか。そういう意見を、普段の患者様を一番よくみている看護師から取り入れ、精神保健福祉士が利用可能な制度を使い調整してくれます。

退院前訪問

退院前訪問とは、退院を視野に入れた患者様と一緒に、その方の自宅や施設に訪問し、退院した後にスムーズに生活できるか検討し、必要があれば調整に入ることです。退院前訪問は、多職種で行わなければならないという決まりがあり、看護師と精神保健福祉士、もしくは看護師と作業療法士が一緒に訪問します。どちらの職種と行っても良いのですが、必ず看護師が同行しなくては点数がとれない決まりになっています。

自宅が病院や買い物できるところから遠すぎる、最低限の家具や家電が足りていないなど訪問しなくては見えてこない問題が分かってきます。入院中に体力が落ちたりしていると、住宅の改修が必要であることが退院前訪問で分かり、ハード面からの調整をすることもありますし、外来通院するには少し遠いから、送迎サービスの事業所と患者様をつないでおくという風な調整をすることもあります。

退院に向けての指導

入院中は病棟で薬を管理していたけど、退院したら一人暮らしの予定だから自分で薬を管理していかなくてはならない。そんなときには、段階的に自己管理ができるようにすすめていく必要があります。まずはお薬カレンダーに自分で薬を入れてもらうことから始め、毎回部屋まで配薬していたのをナースステーションのお薬カレンダーまで自分で飲みに来てもらうことにして、できるようになってきたら、お薬カレンダーを患者様の部屋に移す。無理なく、焦らず、薬の管理を習慣にしてもらう。そんなことも看護師の仕事です。

そんな風に、退院に向けて必要なことを指導していきます。閉鎖病棟で業者による洗濯だったけど、開放病棟のコインランドリーで洗濯してみるとか。そんなこと、と思うかもしれません。けれど患者様になるべく不安なく外での生活に馴染めるように導いていくこと。大事なお仕事です。

なにより患者様に希望を抱いてもらうこと!

長期にわたり精神科病院で生活してきた患者様は、意外にも退院することに消極的。だって想像してみてください。働かなくてもご飯が出てきて、あったかいお風呂に入れて、寒さや暑さにさらされず、ふかふかな寝床があり、作業療法なるレクリエーションも用意されている。そんな環境、慣れてしまえばとっても楽じゃないですか?守られていますもの。

だから、「おれ、退院したくないんだよ」ってそっと打ち明けてくる患者様もいるんです。そんなときに、背中を押すのはやっぱり看護師の役割なんです。主治医よりも関係ができてますから。

「なにか食べたいものないの?病院では出ないもの」「いつでもお風呂入れるよ。夜でもいいんだよ」「自分の行きたいところにお買いもの行けるよ」なんて、病院の外だからできることや、自分らしく生きられるかもという希望を抱いてもらえるようにお話をします。「不安はあるよね。絶対ある。でも、何かあったら相談してきたらいい。いつでも頼っていい。だから踏み出してみよう」と勇気づける。なによりも患者様の不安に寄り添うこと。とっても大切です。

いかがでしたか?第8弾まで続いたこのシリーズですが、とりあえず一旦幕を引こうと思います。もし何か閃いたり、お話し忘れたことに気づいたら復活もあるかも(笑)

この記事を書いた人

しまりんご
育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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闘うワーキングマザー
しまりんご
精神科や緩和ケアなど経験がちょっと特殊!

育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪

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