知っているつもりで知らない！食品と薬の相互作用

食後薬だとわかっているけれど、「食事の後だとお腹いっぱいだからと飲んでくれない」「認知症があり薬の必要性が分かってもらえず拒薬されるから」という理由で食事に薬を混ぜて飲んでもらっていませんか？

グループフルーツと降圧剤、ワーファリンと納豆・クロレラ・緑黄色野菜、アルコールと薬の相互作用は、皆さんご存知だと思います。

しかし、他にも食品と薬の相互作用があるということを知っておきましょう。

知らないと、薬の作用が増減されるだけでなく中毒作用で患者さんを苦しめてしまうことになります。

よく甘いヨーグルトに薬を混ぜると飲んでくれるからということがあります。

しかし、薬の作用が低下してしまったり薬の副作用が出てしまうものがありますので気をつけましょう。

薬剤の成分がカルシウムと結合してしまい、薬の吸収や作用を低下させてしまうもの

薬剤師によると2時間前後は牛乳や乳製品の摂取を避けた方がいいそうです。

テトラサイクリン系抗生物質
ミノサイクリン（ミノマイシン）
テトラサイクリン（アクロマイシン）
ニューキノロン系抗菌剤
レボロフロキサシン（クラビット）

吸収を増大させ作用を増強させるもの

角化症治療薬
エチトレナート（チカゾン）
抗真菌剤（グリセオフルビン）

牛乳の多量摂取により高カルシウム血症など副作用が発現するもの

制酸剤（酸化マグネシウム、炭酸カルシウム）
骨粗鬆症薬（アルファカルシドール）

薬剤がチーズに大量に含まれているチラミンの分解を妨害するため、チラミン中毒（顔面紅潮、頭痛、急激な血圧上昇など）出現する可能性があります。

薬のアレルギーと間違うと大変なことになりますね。

主な薬剤

MAO阻害剤
抗パーキンソン剤（セレギリン）
消化性潰瘍治療薬（シメチジン）
抗結核剤（イソニアジド）
三環系抗うつ薬（イミプラミン）

苦くて飲みにくそうだからイチゴやブルーベリージャムに混ぜて薬を混ぜて飲ませていたことがありました。
しかし、かえって苦みがでて飲みにくくしていたことが分かりました。

成分が酸性で分解されてしまうもの

抗生物質（エリスロマイシン）

薬剤のコーティングが分解されて苦みが出てくるもの

抗生剤のドライシロップ製剤

セフカペンピボキシル（フロモックス）
クラリスロマイシン（クラリス、クラリシッド）

意図的に肉類にはあまり混ぜる人はいないかもしれませんが、ミキサー食の場合には、知らずに混ぜてしまうことがあるようですので注意しましょう。

薬物の血中濃度が低下し効力の低下をもたらすもの

●主な薬剤

ペニシリン系抗生物質
テトラサイクリン系抗生物質

薬物の代謝が促進し作用が低下してしまうもの

気管支拡張剤（テオドール、テオフィリン）
アミノフィリン（ネオフィリン）

腸管からの吸収阻害により効果が減弱するもの

抗パーキンソン剤（ネオドパストン）

やはり、ここは施設や病院、ご家族に協力してもらい服薬用のゼリーを買ってもらうのが一番かもしれません。

今現在、フルーツだけではなくチョコレートなど様々なフレーバーのものが発売されています。

嚥下困難のある方にもゼリーだと安心です。

そそれでもだめならば、飲まないより飲むほうがいいと何かの食物に混ぜてしまうのですが、相互作用には十分気をつけたいですね。

この薬は何に注意したらいいのかわからないときは、薬剤師さんにいつも頼って聞いています。

高齢者となると沢山の種類の薬を飲んでいるので大変です。

医師と相談して薬を減らすように努めることも看護師の大切な役割です。

高齢者施設では、何か大病をしないと薬を見直さずそのまま漠然と飲んでいる方が多くいるからです。

いつも薬剤の相談に気軽に乗って下さる薬剤師さんには頭が下がります。

心から感謝申し上げます。