ナースはつらいよ

とっても不思議☆妄想の世界

こんにちは、しまりんごです☆

精神科看護歴5年以上の私ですが、つくづく不思議だなーと思うものの中に「妄想」があります。

妄想ってなに?

妄想の定義はご存知でしょうか?

妄想とは、第3者からみれば非現実的で、事実ではない間違った認識であるにも関わらず、それを事実と確信し、周囲の反対や正しい情報による説得では容易に修正できない思考内容である。

妄想状態になると、周囲が否定し、その不合理さをいくら説明しても訂正できないし、体験として根強く、新たな信頼と安心感をつかむまでは、なかなか消失しないものである。

つまり妄想とは・・

  • 根拠のない確信
  • 内容の不合理性
  • 訂正不能

という3つの要素から成り立っています。

ということは、誰もが一度は経験しているであろう、「片思いのA君とめでたく両想いになりデートをする妄想」はそうなりたいという願望により思い描くものであり、それが事実でないことは分かっているため「妄想」の定義からは外れます(笑)

妄想のタイプ

妄想のタイプとして、大きく5つのタイプに分かれます。

1、自我拡大型妄想(誇大妄想、発明妄想、血統妄想、宗教妄想など)
2、自我縮小型妄想(卑小妄想、貧困妄想、虚無妄想、罪業妄想など)
3、対人関係的妄想(関係・注察・被害・追跡・被毒妄想など)
4、主体的喪失妄想(心気妄想、憑き物妄想、変身妄想など)
5、思考奪取(自分の考えが誰かに抜き取られる思考体験)

妄想のほとんどは、統合失調症でみられます。しかし、うつ病で罪業妄想(なんでも自分のせいと自分を責める)や貧困妄想(うちは貧しくて治療費が払えないと思い込むなど)がみられることもあります。

一般病院でも見かける妄想

精神科ではおなじみの妄想ですが、一般病院でも、「なんかこの患者さん、おかしいな」「変なこと言ってるな」「やけに訴えが多いな」なんて感じることはあるのではないでしょうか。

その場合、もしかしたら何らかの妄想があるのかもしれません。

一般病院では、患者さんとのお付き合いがそれほど長くなく、関わりも密にとれないことが多いので、患者さんの辻褄の合わない発言が妄想によるものだと確信までに至ることは難しいかもしれませんね。

一般病院で押さえておきたいのは、「心気妄想」でしょうか。うつ病の方に多いですが、やたらと身体症状を訴え、身体疾患に違いないと言って一般病院を受診する人は多いです。

検査の結果、特に病気は見つからなくても、安心するどころか、どんどん不安になり、「先生、本当のことを教えてください」とか言い出したり、何度でも受診したり、病院を転々としたり。

必要のない検査や治療を要求したり、入院の必要もないのにさせてほしいと聞かなかったり、大変です。

根拠のない確信があるのでなかなか対応は難しいですが、精神科へ紹介するなどした方が、患者さんにとっても良いこともあります。

本人は聞く耳を持てない可能性が高いので、ご家族へ相談してみると良いでしょう

私が本当にみてきた妄想

私の精神科看護人生で実際に遭遇した妄想をご紹介。

心気妄想:「胸が苦しい」「体がだるい」「私胃がんかもしれません」という妄想。

そのたびに血圧計を片手に病室へ。背中をさすってあげながらしばらく話を聞いていると楽になってきます。

バイタルに異常なし。聞いて欲しい気持ちが強く会話はしっかりできます。

罪業妄想:精神科は状態の悪い患者さんが時々火災報知器を押しちゃったりすることがあるのですが、自分が押したわけでもないのに「私のせいで火災報知器が鳴った」と言ったり、同室の患者さんの状態が悪くなり隔離室に入ると「私のせいでAさんが隔離された」と思い込んだりする人がいます。

大丈夫、あなたのせいではないので安心してくださいと声をかけるしかありません。

貧困妄想:一番多いのが、「お金が払えない」と言うケース。

特に貧しくもないのに「お金がないので洗濯しない」「お金がないので食事はいりません」と訴えたり院外の活動などでお小遣いが出るときも「私お金ありますか?」と心配したり。

お金はもういただいていますから安心してくださいと繰り返し声をかけます。

被害妄想:ちょっと目があっただけで「私を睨んでくる」と言ったり、廊下での立ち話を「私の悪口だ」と解釈したり。なかなか厄介な妄想です。

これがあるゆえに信頼関係が築きにくいのです。

職員はそうとられるような行動を最小限にしますが、他の患者さんもみえるのでなかなか難しいです。

被毒妄想:「水には毒が入っているから飲めない」と言って飲み物はすべていつでもコーヒーだけという人がいます。

もっと極端になると、食事はすべて自分が作らなくては食べないなんて人もいて、用意された食事を食べなかったり。

栄養状態が悪くなれば点滴による栄養・水分補給が必要になります。

誇大妄想:「私は昔美空ひばりとステージに立ったのよ」「東京の田園調布に家を持っているから、退院したらあげるわね」と言われたことが。
その程度の妄想にとどまれば可愛いもので、自分が大富豪だなんていう妄想から、とんでもない高額な買い物をしたりすることも。

恋愛妄想:「Aさんにプロポーズされた」「許婚が何人もいる」という妄想がある人がいます。

そう思い込んでいるだけなら良いのですが、実際に家まで行ってしまったり、電話何度も繰り返しかけたりしてストーカー行為に発展する人も。

妊娠妄想:ずーっと女子病棟にいるのに、もう閉経しているのに「私妊娠してます。お薬飲めません」と言ってみたりする人がいます。

ただ、いつもそう訴えるわけではなく、周期的に時々訴えるケースがほとんどです。

血統妄想:「皇居に帰ります」というのは結構多いです。自分が皇族だと思っています。

本当に病院から出て行ってしまわないか注意が必要です。

他にも、自分は戦国武将の末裔だと思っていたりする人も。

まとめ

精神科でないとあまり遭遇しないかもしれない「妄想」。
知ってみるととっても不思議で面白い世界です。
もちろん、対応はなかなか難しいですけれども・・・。

この記事を書いた人

しまりんご
育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪
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闘うワーキングマザー
しまりんご
精神科や緩和ケアなど経験がちょっと特殊!

育児花丸旦那さんと4歳の息子との3人暮らし☆専業主婦に対する憧れも密かに抱きつつ、常勤で走り続けるワーキングマザーです。趣味は楽器演奏と、映画鑑賞。最近は手芸店巡りが大好き。目指すは、なんでも挑戦する30代♪

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