ナースはつらいよ

新人関連図検討会〜教育担当の意図〜

春が近づき、4月からはまた新しい新人看護師達が入社する時期が近づいてきましたね。教育担当者の皆様はそろそろ次年度新人さん向けのスケジュールを作成し始める頃でしょうか。

さて、今回は私が教育担当者を勤めた時に行った新人勉強会をご紹介したいと思います。毎年新人さんが夜勤に入って数回目ぐらいの5月終わりあたりに関連図検討会を実施していました。そして、その勉強会をする目的・意図を中心にお伝えしようと思います。

病態生理を把握してもらう

関連図=病態生理を図式化したもの。とも言えるでしょう。特定の患者さんに焦点を当て、疾患名を基に病態を紐解いていきます。看護教育の中では疾患についての勉強はサラリとしたもので終わっています。入職し、専門の科に配属されたからには、その科特有の疾患については知っておいて貰いたい、いや知っておくべきです。

私は血液内科で働いていたので、新人さんに課す課題の主な疾患は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫が多かったです。それらの病態から症状、治療、それに伴う副作用などを細かく書き連ねてもらいます。患者さんを看護する上で、何故この方はこの症状が出ているのか、何故この薬を点滴しているのか、輸血をするべきなのか…など知っておかなければ、患者さんに聞かれても答えようがありません。

更には医師の点滴指示が万が一誤っていたとしてもダブルチェックで防ぐ事も出来ないからです。新人さんにそこまで要求しませんが、知っておく事で、今後指示を受ける際にチェック出来るようになります。誤った指示をしてインシデント、若しくはアクシデントを引き起こした場合に、投与した看護師も当事者となりますしね。

患者さん、更には自分の身を守るためにも疾患・治療を学んでおく事は大切です。

電子カルテで重要な情報の見方を知ってもらう

最近はほとんど電子カルテになってきているかと思いますが、最初はどこを操作して、どの画面を見るのかさえ分からないと思います。慣れればすぐに、熱型表から点滴オーダーの画面に至るまでチェック出来ると思いますが、肝心なのは「SOAP」=「記録」を読む事です。もちろんどんな熱型か、投薬されている薬剤は何か確認する事も重要ですが、それをチェックするのは当たり前。それ以上に、どこまで記録を読んで患者さん像を把握するかが大切です。

新人さんにありがちなのが、前日からその日までの記録と点滴・内服薬をチェックして業務に取り掛かる事。確かに当日の点滴オーダーや内服薬のチェック、熱型を見ておけば最小限その日の業務はこなせるかもしれません。しかし、どんな経緯でこの点滴や薬が追加されたのか、精神面や、患者さん個々の情報は拾えません。

4月までは、業務に一杯一杯でしょうから、それでも構いませんが、5月以降もそれでは喝が入ります。医師記録や看護記録の重要な部分を見つけて、読む力を付けてもらいたいと思っています。そして、重要だと思った部分を関連図に反映させてもらいたいのです。

まとめた関連図を相手に伝わりやすい方法を習得してもらう

関連図の書き方と言っても様々あると思います。私も毎年色々な方法で書いてもらいました。A4用紙に細かく書いてもらい、出席者全員にコピーを配布して一緒に見ながら発表してもらう方法が一つ。二つ目は、ポスター発表にする方法。他にもスライドを作成してもらい、パワーポイントで発表してもらう方法もありました。どの方法にしても一長一短ありましたが、最終的には新人さん個人個人の得意な方法で作成してもらうのが一番でした。

パソコンが苦手な新人さんにスライドを作らせるのも酷な話です。誰にでも得て不得手はあるので、手書きが好きであれば手書きにしてもらいましたし、パソコンが得意ならパソコンで関連図を作ってもらいました。そして、自分が発表しやすく、相手に伝えやすい方法を考えてもらったのです。ポスター発表が上手な新人さんであれば、今後看護研究などを実施するときにメンバーとして加わってもらう事も検討できます。

他の新人(同期)の関連図を見て学んでもらう

1人の新人さんに1患者さんの関連図を書いてもらうので、自ずと1つの疾患のみやたら詳しくなります。しかし、働く上でこの疾患は得意ですがそれ以外は知りません、とは言えません。勉強すれば良い話ですが、そうでなくとも業務に一杯一杯の新人さん、他の同期の発表を聞いて学ぶ事が一番手っ取り早い方法です。

しかも、患者さんの関連図なので、想像し易く頭に入り易いと思います。発表日より1週間程前に期日を設け、資料を全員に配布します。新人さんは、他の同期の資料を見て2個以上は質問する事としていました。そうする事で必ず必死に目を通します。それが学びにつながると考えていました。

プリセプターとの距離を近づける

新人さんにはたいていプリセプターがつきます。そして、関連図のチェックをして貰います。最初のうちはプリセプターとプリセプティといってもヨソヨソしいもの。しかし、共同作業となれば幾らか距離は縮まります。勤務終わりに2人でチェックをする事で自ずと会話も増えるからです。

発表の時も、新人さんが質問の答えに詰まっていたら、ソッとプリセプターのフォローが入ったり…というのはかなり理想的な図ですが。必ずしも良い方向に向かうとは限りませんが、一つの機会にしてもらいたいと考えていました。

以上が教育担当者をしていた私が考えていた関連図検討会をする目的・意図でした。

他にも1年を通して様々な勉強会が準備されています。新人さんにとっては地獄のような新人時代だと思いますが、

企画する側も意外と大変な時間と労力を使って行っているので、目的や意図を理解してもらいながらお互い充実した勉強会が出来るといいですね。

この記事を書いた人

まこ
看護師9年目。血液内科病棟で勤務し、小児から成人・老年期の看護に携わる。結婚半年後に夫の転勤に伴い退職。現在は一児の母で子育て奮闘中。
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元ナース 現ずぼら主婦と一児のママ☆
まこ
クリーン病棟で長期勤務してました

看護師9年目。血液内科病棟で勤務し、小児から成人・老年期の看護に携わる。結婚半年後に夫の転勤に伴い退職。現在は一児の母で子育て奮闘中。

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